暮らしに息づく紅

まとい、味わい、描く、紅

いにしえより⼈々の暮らしに彩りを与えてきた紅。「紅」は化粧料としての⽤途以外に、様々なシーンで使われています。

紅をまとう-着用する紅

紅は染料としても古くから⽇本⼈に愛され、濃淡様々な⾊合いの紅染めが⽣み出されてきました。かつては位階によって⾝にまとうことのできる⾊が厳格に定められており、深紅は⾼貴な⾊でした。また、紅染めの⾐を肌にまとうことで⾎の巡りを良くして体を温めたり、⽪膚病除けにしたりと、紅そのものが持つ薬効を意識して、しばしば⽤いられてきました。

着用する紅

紅を味わう-食用の紅

雛祭りの菱餅、お祝い事にだされる紅白餅など、日本では、昔から年中行事の際に菓子や料理を、紅などで赤く染める習わしがありました。江戸時代になると、紅花から抽出した紅が盛んに使用されていた様子が、当時の料理書などからうかがえます。

伊勢半本店では、お菓子や料理の色付け用の紅花由来の食紅「御料紅」を販売しています。

御料紅のご案内

食用の紅

紅で描く-絵画や書物にみる紅

太陽や火焔を連想させる赤色は、魔を払い、悪しきものを避ける色として、お札やまじない絵にも頻繁に使用されました。江戸時代には、疱瘡が大流行した折に、紅で摺ったまじない絵「疱瘡絵」を部屋に飾って平癒を祈りました。神社などで朱書きの文字が今も残るのは、赤色へのこうした思いが残っているからです。
また、紅の鮮やかな色彩は浮世絵の中でも目を引く色として重宝されてきました。紅は高価な絵具であり、惜しみなく使える代物ではありませんでした。

木版画に使われる絵具用の紅を「細工紅(さいくべに)」と呼びます。伊勢半本店では、江戸時代の色を再現すべく研究を重ね、版画作家の協力のもとに完成させた「細工紅」を販売しています。浮世絵版画の復刻や日本画などに使用されています。

細工紅のご案内

絵画や書物にみる紅